将来の生活設計を立てていますか? |
福島県弁護士会会員 小池 達哉 |
1 本稿執筆時、新型コロナウィルス感染拡大へ向け、新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)に基づく緊急事態宣言が継続されている。2019年度は日弁連副会長に従事させていただいたが、緊急事態宣言が発せられる数ヶ月前には、日弁連執行部として、オリンピック・パラリンピックの開催を踏まえて7月から8月にかけての会議自粛を呼びかけるなど、中国の出来事を人ごとのように思っていた。ところが、3月に入ると我が事となり、当月の会議自粛を呼びかけ、2020年度執行部に変わった4月以降は、弁護士会館を事実上閉鎖し、当面の会議等の中止等を要請する事態に至っている。
2 原発事故や新型コロナ感染のように、予測し得ない事態が生ずることは避けがたい。しかし、将来に備え、今できることはある。
3 日本弁護士国民年金基金は、日弁連を母体として平成3年8月に設立され、現在、1万人近い加入者が存在する。その運用は堅調で、今後、弁護士数が増加するにしろ減少する可能性は乏しいことから、破綻の可能性はほぼない。掛金は全額所得控除の対象となる(上限81万6000円)。経費で将来設計ができるという優れものである。
4 もちろん、何かを始めるにはインセンティブが必要であるが、例えば、弁護士1年目を迎えた、独立開業した、開業1年目を迎えたといった際に加入すれば、さらなる向上の決意が固められる。専従配偶者も一緒に加入できるので、結婚あるいは出産を機に加入すれば、家族思いとの評価がうなぎ登りとなる。同期よりも先に加入すれば優越感を味わえる。まずは掛金毎月最低単価から始め、毎年定額を上乗せしていけば、業務拡大の精神的礎にもなり、業務が順調に推移していることの証ともなる。早く加入すればするほど、リターンは大きく、将来設計が確固たるものとなる。
5 日本弁護士国民年金基金は良いことずくめの制度といって過言ではない。加入は将来を見据えていることの表れであり、掛金を納付できるという余力の表れである。それは、予防法務にも通暁する能力と弁護士業務を立派にこなしていることの現れといえる。既に加入されている場合は、是非、周囲に自慢して欲しい。加入者の増加が、不祥事予防に寄与し、弁護士業界全体の信頼度アップに繋がるはずである。
6 本稿が日本弁護士国民年金基金加入のもう一つのインセンティブとなり、日本弁護士国民年金基金が将来の「陽だまり」となることを願ってやまない。 |
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陽だまり 2020 No.48より |