2021年度に推進委員(代議員)となってから、年金の仕組み並びに年金基金の組織、運営及び広報勧奨などの活動について、よく知るようになりました。年金基金のホームページでも(http://www.bknk.or.jp/index.html)、事業概要(規約)や基金制度のポイント、弁護士のための年金制度全般について、広報動画やFAQ(よくある質問)、年金シミュレーションを交えての説明があります。
さて、私が年金基金に加入したのは、弁護士登録後まもなくのころです。加入したきっかけは、登録時に繰り返し目にした広報資料に早めの加入がよいと書いてあったことや修習同期の口コミなどからでした。のちに、早めの加入がよい理由は、納付期間との関係で、掛金の単位額は加入時年齢が上がるごとに(誕生日の翌月から)逓増するのに対して掛金額の上限は月額6万8000円までと規定されているので、単位額の高額化に伴い加入できる口数の上限が低下し、加入口数によって定まる受取年金額も低下するからであると知りました。
加入当初は、勤務弁護士としての給料から無理なく負担できるように、また、あとで増口減口もできるからと、少額を掛けていました。しかし、数年が経ち事務所のパートナーとなったころ、支払い掛金の全額が所得控除されて所得税・住民税が低減する税制上の優遇措置をメリットとして意識するようになり、掛金額を増やしました。
現時点で年金基金に加入しておいてよかったと思うことの一番は、将来、充分とは言えないまでも一定額の収入が定期的に入るという安心感を感じられることです。個人事業主の場合、国民年金だけでは、満額でも月額6万5000円ほどしか支給されませんから、これだけでは心もとないことになります。近年、10年に1度のはずの災害が多発したり、コロナ禍に見舞われたり、世界情勢が不安定になるなど、不測の事態が次々と起こる中で、このような安心感は重要なことだと感じます。
また、予定利率が定期預金の市場金利より高いこと、同じく税法上の優遇措置があるとはいえ個人型確定拠出年金(愛称「iDeCo」)は自分で掛金の運用をする必要があり、有期年金であるのに対し、年金基金はプロが運用しており、終身年金が選択できることも、年金基金に加入するメリットではないかと考えます。
ちなみに、2022年3月末時点のデータではありますが、弁護士総数に占める弁護士の加入員・受給者等の割合は、全国平均で27.69%です。また、新規登録者数に占める加入者の割合は、73期では2.6%、69期でも8.9%にとどまっています。このような低い加入率は、弁護士法人の社員弁護士や社内弁護士、任期付公務員をしている間は国民年金基金の加入資格がないという事情を考慮するとしても、なお、まだどの上乗せ年金制度にも加入していない会員が相当数いることを推認させるものです。
年金基金は弁護士会員の福利厚生にとって不可欠ともいえる制度なので、日本弁護士国民年金基金では、各弁護士会に対してパンフレットの備え置き等による恒常的な広報協力を依頼したり、推進委員が弁護士会連合会定期大会や新規登録弁護士等の若手弁護士の研修や勉強会に出向いて制度の説明をするなどの広報勧奨活動を行っています。二弁でも、2021年度、オンラインで行われた新規登録弁護士のクラス別研修の各回冒頭に推進委員が10分程度お邪魔して、年金基金の広報動画を画面共有で流したうえで制度のポイントを説明するという広報勧奨活動を行いました。
会員の皆様とは、上述のような情報利用や活動を通じて、早めのシニアライフの設計についてご一緒に考えていければよいと思っております。
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