「深く考えもせず入りました」
福岡県弁護士会会員 松下 真樹子

 表題のとおりである。加入時期も詳しいところはわからない、年払いの掛金はわかるが、正確な口数は覚えていない。1か月前のことも覚えていない記憶力が悪い私であるが、執筆依頼があったからには仕方がない。私のケースが会員のどなたかの参考になるのかはわからないが、記憶をたどって@国民年金基金に入った時期A動機を振り返り、Bその他の制度との違いなどの調査をしてみることにした(一応自己紹介。私は、サブスクの音楽配信サービスに癒されている、田舎のごく小規模事務所所属のマチ弁です。)。

1 加入時期の記憶
 そもそも、「加入員証」のようなものが見当たらない。他の保険のものは大体あるような・・気がするが。再発行などしなくて良いのだろうか?毎年年払い掛金が記載されて送られてくるお知らせをみて、いくら払えばよいかは把握しているつもりであるが、申告書類を除いて捨ててしまうため、やっぱり普段はよくわからない。執筆時は3月の申告時期であったため、お知らせを発見することができ、口数、加入月数などはわかったのだが、加入時期が記憶と何となく一致しない。
 仕方がないので東京出張の際に弁護士会館14階の窓口を訪ねてみた。偶然にも当日出席した会議の会議室の隣の部屋であった。突然のことで驚かれたかもしれないが、資料を出していただき、加入内容を教えてもらった。加入した時期は、新人時代勤務していた事務所から独立し、その3年後あたりであったようだった。なるほど・・。加入内容から記憶をたどってみた。

2 加入の動機
 確か、当時こんなことを考えていた。司法修習生の時は共済に入っており、新人時代に在籍した事務所が弁護士法人で、厚生年金に加入したのだが、個人事業で独立するのに伴い、それがなくなって、国民年金だけになる・・深く考えもせず・・なんか入っておいた方がいいかもと。そうやって、独立後即加入したような記憶だったのだが、実際には独立から3年後であり、少し余裕が出てきてから?加入したようだ。
 弁護士の夫と夫婦で加入することとし、掛金の設定として(実際には予定利率がかけられてもう少し増えているらしいのだが)、国民年金と合わせて月額10万円目途に受給できるよう、無理のない金額・・ということだったと思う。

3 小規模個人共済との違い
 国民年金基金加入から数年後、税理士のすすめで小規模個人共済に加入した。退職金代わり?万が一の時借り入れができる?ということで加入している。こちらも、国民年金基金同様、掛金が全額所得控除になる。上限額を毎年支払い続けることができればいいのだがそうでもなく、その年に応じて掛金額を適宜調整せざるを得ない。
 ある年、小規模個人共済の掛金を上限額にした上、12月に翌年1年分の前払いもしたため、翌年は掛金を支払うことができなくなり、小規模個人共済の所得控除がなくなってしまった。そんな時、普段は加入したことさえ意識していない国民年金基金だけは所得控除になったため、この時は入っていて良かったと思った。

4 iDeCoとの違い?
 近年、iDeCoやNISAという制度ができたらしい。依頼者が入っているかもしれないので話題作りのため入ろうと思ったりもするが、「為替と株の値動き」で一喜一憂するのは苦手であり、(着手金報酬方式で弁護士報酬をもらうことが多く)事件を頑張れば頑張るほど報酬額が増えるものであり、いわば本業が投資みたいなものだから本業に専念したい、と思っているため、未だ加入していない。
 iDeCoと国民年金基金の掛金上限額は共有されるらしい。大きな違いは、iDeCoは小規模個人共済控除で、配偶者分を払っても控除できないが、国民年金基金は社会保険控除だから配偶者分も控除可能で、より大きな節税効果があるということである。

5 要するに・・
 登録から数年という人だったら、国民年金基金に若いうちに一口からでも入って、iDeCoと併用してみるのはどうか?と思う。確か、分散投資って大事ってことだったかと思って。(前記のように、私は為替と株の値動きで一喜一憂するのが苦手なため、国民年金基金で全額枠を使っていない今でも、若かったとしても、国民年金基金だけにしそうであるが。)

6 地味なところが良いところ?
 「陽だまり」に以前掲載された先輩方のコラムは、上限入っています(儲かって仕方がない?)、もっと若い時から入っておけば良かったけど、これからでもOKですよ!(保険ではないので告知もいらないし持病があっても大丈夫!)という内容のものも多かったような気がして、自分もそのうちそうなるのかしらと思って入ったが、現状そうでもない・・。50歳になる前には少し増額できたらいいな、と考えるものの実現できるかわからない。
 国民年金基金に入っていて良かったと思うのは、先のことかもしれないが、地味、地道に控除してくれて、老後の年金になる、年払いの時のみ加入していることを思い出す、という感じで、そのうち老後を迎えそうである。

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陽だまり 2025 No.53より